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日本映画の名作4本をフィルム上映 12月3〜6日に高田世界館で「109映画祭」

2か月前

強い絆で生き抜く聾者夫婦を描いた感動作「名もなく貧しく美しく」など、戦後の混乱を乗り越えて生きる家族や夫婦の姿を描いた日本映画の名作4作品をフィルム上映する「109映画祭」が2020年12月3〜6日、新潟県上越市本町6の高田世界館で開かれる。料金は1本500円、4作品で1500円。


映画祭ちらし

文化庁の優秀映画鑑賞推進事業の一環として、高田世界館が100周年を迎えた2011年から、国立映画アーカイブが所蔵する映画フィルムの上映が続いている。今年は1950年代~1960年代頭に製作された4本のモノクロ作品を上映する。

12月1日~6日に、高田本町商店街で買い物をしたレシート(500円以上)持参で100円引きとなる。

今年で109年目を迎えた映画館内を解説する見学ツアーもある。所要時間は30分。料金は500円(映画を見た人は300円)。

上映する映画は次の4本。上映時間はちらし参照。問い合わせは、高田世界館025-520-7626

◇高田世界館公式サイト http://takadasekaikan.com/


◇煙突の見える場所(1953年・108分)

東京・千住の4本にも1本にも見える「お化け煙突」がある界隈を舞台に、戦後の日本を生きる庶民の悲喜こもごもを描き出した五所平之助監督の代表作。足袋問屋に勤める緒方隆吉(上原謙)は、戦災未亡人であった妻弘子(田中絹代)とつつましく暮らしている。生活の足しにと2階を税務署員と、街頭広告のアナウンス嬢に間貸しているが、そこに見も知らぬ赤ん坊が置き去りにされていたことから一騒動が持ち上がる。「キネマ旬報」ベストテン第4位。

煙突の見える場所
煙突

◇この広い空のどこかに(1954年・109分)

どこにでもある町の酒屋。働き者の若主人良一(佐田啓二)と嫁いできたばかりのその妻ひろ子(久我美子)。一緒に暮らすのは若主人にとって亡くなった父の後妻である義理の母と、その子供である妹と弟。気がかりは戦争で足を悪くして家に引きこもりがちな妹。そんな平凡な家族でおこるささやかな誤解と、やがて来る和解。人物の感情の流れを細やかに、かつ鮮やかにとらえたホームドラマの名作。小林正樹監督による第4作目である。

この広い空のどこかに
この広い空

◇名もなく貧しく美しく(1961年・129分)

木下恵介監督の下でシナリオの修行を積み、助監督を務めた松山善三の第1回監督作品。聾唖学校の同窓会で出会い、結ばれた道夫(小林桂樹)と秋子(高峰秀子)は、貧しいながらも身を寄せあい、懸命に生きている。やがて夫婦には子どもが生まれ、暮らしも落ち着きかけたが、素行の悪い秋子の弟に、金の問題で繰り返し悩まされる。絶望した秋子を窓ガラス越しに道夫が励ます姿は、手話によって2人の絆が語られる日本映画を代表する名シーンとなった。「キネマ旬報」ベストテン第5位。

名もなく貧しく美しく
名もなく

◇裸の島(1960年・96分)

瀬戸内海の小さな無人島に、1組の夫婦が渡ってきた。千太(殿山泰司)と妻のトヨ(乙羽信子)には8歳の太郎と6歳の次郎の2人の子供がいた。わずかな土地を耕し、段々畑に麦とサツマイモを植える貧しい生活である。水は小船を漕いで隣の島まで汲みにいき、天秤棒でかつぎ険しい斜面を登らなければならない。誤って手桶の水をこぼしたトヨに、千太は頬に平手打ちをくらわせたほど水は貴重だ。長男の太郎が急病になり医者が間にあわず死んでしまうが、映画は一言のせりふもない。2人は黙々と働きつづけるしかないのだ。監督は新藤兼人。第2回モスクワ映画祭でグランプリを獲得し、世界64か国に輸出された。「キネマ旬報」ベストテン第6位。

裸の島
裸の島